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個人投資家でも未上場株式が買えるようになった!
皆さんは「未公開株」というと、どんなイメージがありますか?
日本の99%以上の会社は未上場企業ということですので、公開された株式の方が圧倒的に少数、したがって未公開株の方が“メジャー”なわけですが、投資という観点から株式を見ると上場された会社の公開株式こそが投資の対象であって、未公開株への投資というと、“詐欺”などのやばい投資案件、あるいは“そもそも買えないだろう?”というイメージの方がこれまでは支配的だったのではないかと思います。
そう、一昔前なら未公開株への投資と言うとベンチャーキャピタルやM&Aを実施する企業のみが取得できる、どちらかというと専門性が要求される投資対象の株式だったと思います。
一応「グリーンシート銘柄」として未上場株式を取引できるグリーンシート市場というのもありましたが、未上場企業に上場企業並みの適時開示義務を負わせた結果、登録申請する企業は年々減少、グリーンシート銘柄制度は2018年3月に廃止されてしまいます。
しかし時代は変わりました。
2015年5月の金融商品取引法の改正等により未上場株式の発行を通じた資金調達を行うための制度「株式投資型クラウドファンディング」が創設され、この仕組みを活用することで未上場の企業でもインターネットで多数の人達から小額ずつ資金を調達することができるようになり、他方で個人投資家はクラウドファンディング投資という形でインターネットから未上場株式へ投資できるようになりました。
FUNDINNOとは?
日本で初めてこの株式投資型クラウドファンディングのサービスを開始したのがFUNDINNO(ファンディーノ)です。
FUNDINNOは個人投資家でも少額からIPOやM&Aを目指す未上場のベンチャー企業に投資できる環境をインターネット上に提供しています。
現在ではFUNNDINO以外にも株式投資型クラウドファンディングのサービスを提供する企業もありますが、FUNDINNOが国内シェア№1となっています。
このFUNDINNOを運営しているのは株式会社FUNDINNO。
同社は一般的な総合証券会社と同様に「第一種金融商品取引業者」という免許を保有し、日本証券業協会にも加入しています。
ただ運営会社自体がいくら信用できると言っても、非上場の企業への投資というのはハイリスクにもなります。
そこでFUNDINNOでは複数の公認会計士等による厳正な審査を通過したベンチャー企業のみに絞り込み、投資できる案件(=クラウドファンディングで資金調達できる事業者)として公開しています。
FUNDINNOでベンチャー企業に投資するメリットとは?
FUNNDINOのようなサービスの登場で、ベンチャー企業に投資できる環境が整備されていることは理解できたけれども、そもそも未上場のベンチャー企業に投資するメリットって何なのか、そう思った方もいらっしゃるかもしれません。
だいたいベンチャー企業というのは倒産することも珍しくないので、いくら厳格な審査をやっているからといっても、やはり上場株式と比べるとハイリスクです。
しかし未上場ベンチャーへの投資ならではのメリットとして、例えば以下のようなものが挙げられます。
①ベンチャー企業を応援することで社会貢献できる!
②大きなリターンを得られる可能性もある!
③エンジェル税制活用で節税できるケースもある!
④未上場でも株主優待を受けられることがある!
と、ざっとこんな感じなんですが、以下もう少し詳しく見ていきたいと思います。
メリット1 未上場ベンチャーへの投資で社会貢献できる!
上場企業の株の売買であれば、既に株式市場が形成されていますので、市場で売買して利益を得るか、保有し続けて配当収入や株主優待を得ることが株式を取得する最大の理由となってくるはずです。
初めて証券市場に上場するIPO銘柄であっても、購入する側としては上場してからの値上がり益を得るということが最大の目的となるでしょう。
しかし未上場株へ投資した場合、売買できる相場は形成されていませんし、IPOやM&Aといったエグジットに到達するまで長い時間がかかることもあり、最悪倒産ということも起こり得ます。
したがってとりわけ短期的な利益の確保を第一目的として未上場株へ投資することは、あまりおすすめできません。
その代わり、これから成長していく可能性のある企業に投資という形で関わることで、これまで日本になかった新しい事業やサービスの誕生に貢献することができます。
実際過去にFUNDINNOで資金調達した企業、今現在資金調達を行っている企業を見てみると、非常に夢のある事業を展開していこうという企業が多いです。
例えば地域と密着した事業を展開し「地方創生」に貢献できるような企業、社会貢献や社会問題の解決を目的としてビジネスを展開しようとする企業、最先端の科学技術で新しいサービスを創造しようとしている企業など、ユニークかつ斬新なアイデアを持った企業が多く見つかります。
しかしながら、日本のベンチャー投資はまだまだ発展途上なのが現状です。
アメリカではベンチャー投資の規模は約38兆円(2022年時点)であるのに対し、日本では約0.8兆円となっています。
2021年の名目GDPで比較するとアメリカは日本の約5倍弱ほどですので、経済規模に比べて圧倒的にベンチャー投資は不足しています。
したがって未上場のベンチャーに投資するということは、そうした日本の現状を変え、ベンチャー市場の発展に寄与することを通じて、延いては日本の経済を元気にすることにもつながります。
これは未上場ベンチャーへの投資だからこそ得られる醍醐味でもあり、社会貢献とも言えますし、利益を得る事とはまた違う独自のメリットと言えるのではないでしょうか。
メリット2 大きなリターンの可能性もある!
FUNDINNOでベンチャー企業に投資した場合、長期的にはIPO(上場)や第三者への売却を通じて大きなリターンを得られる可能性もあります。
下の表はFUNDINNOが公式サイトで公開している過去にFUNDINNOで資金調達を行った企業で、エグジットによりリターンが1倍を超えた事例です。
企業名 | 投資回収 までの期間 |
投資回収方法 | リターン |
---|---|---|---|
株式会社ハーバルアイ (旧社名株式会社漢方生薬研究所) |
1年5ヶ月 | 事業会社による一部買付 | 1.5倍 |
株式会社nommoc | 1年9ヶ月 | 事業会社による一部買付 | 1.5倍 |
社名非公開 | 1年3ヶ月 | ファンドからの買付 | 1.2倍 |
社名非公開 | 2年11ヶ月 | ファンドからの買付 | 1.3倍 |
社名非公開 | 3年2ヶ月 | 自社による買取 | 1.57倍 |
社名非公開 | 3年11ヶ月 | 自社による買取 | 1.07倍 |
琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社 | - | TOKYO PRO Marketへ上場 | 1.4倍 |
Innovation Farm株式会社 | 2年11ヶ月 | M&A | 1.1 ~ 4.4倍 |
事業会社やファンドによる株式買付、上場、M&Aなどにより、リターンは1.07~4.4倍となっています。
仮に一社に上限となる50万円投資していて1.5倍で買付が行われたら75万円で売却、25万円の利益が出たことになります。
またFUNDINNOによると、琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社の事例ではTOKYO PRO Marketへの上場により 332名の投資家がリターンを得て、中には4倍を超えるリターンもあったということですので、そのケースだとかなりのリターンになりますね。
エグジットまでの期間は1年~4年程度と長いですが、長期視点で投資して、上手くいけば大きなリターンに繋がる可能性もあるわけです。
この他後述するようにFUNDINNO MARKETでエグジットを待たずに未上場株を売却して大きなリターンが出る可能性もありますので、ハイリスクではありますがハイリターンという部分でのメリットもFUNDINNOにおけるベンチャー投資の魅力と言えるでしょう。
メリット3 エンゼル税制活用で節税できる!
FUNDINNOで投資を行うメリットの三つめは「エンゼル税制」を活用することで、投資をしながら節税できるケースがあるということです。
エンジェル税制についてですが、これはベンチャー投資を促進するためにエンジェル税制対象企業に投資した投資家が税制上の優遇措置を受けられるというものです。
ここで優遇措置および対象企業は以下のようになっています。
優遇措置A | 優遇措置B | |||
対象となる企業 | 設立5年未満の企業 | 設立10年未満の企業 | ||
控除額 | [対象企業への投資額 - 2,000円]をその年の総所得金額から控除できる | 対象企業への投資額全額をその年の他の株式譲渡益から控除できる | ||
上限 | 総所得金額×40%と800万円のいずれか低い方 | 控除対象となる投資額の上限なし |
一年間で同じ企業に投資できる金額の上限は原則として50万円ですが、分散して多くのエンジェル税制対象企業に投資すれば、それ以上の金額を総所得金額や譲渡益から控除できます。
特に株式譲渡益が大きい場合、優遇措置Bを上手く活用すれば上限もありませんので、かなりの節税になります。
このエンジェル税制ですが、FUNDINNOは「経済産業大臣認定クラウドファンディング事業者」となっており、投資家と事業者のどちらにとってもエンジェル税制の申請作業が軽減されています。
投資家の場合は従来都道府県庁から確定申告時に必要な書類の発行を待つ必要がありましたが、FUNDINNNOの公式サイトからダウンロードできるようになっており、申請手続きの時間短縮が可能です。
FUNDINNOの公式サイトによると2023年2月現在、FUNDINNNOで成約したエンジェル税制適用プロジェクト数は155件、FUNDINNOを通して同税制を申請した投資家の延べ人数は25000人を超えています。
メリット4 株主優待を受けられる企業あり!
未上場企業に投資した場合でも、上場企業への投資同様、株主優待を受けられることがあります。
株主優待にはその企業独自のサービスや商品に関するものが多く、FUNDINNOが公式サイトで紹介している事例によると、自社商品贈呈、自社サービスの割引利用、自社セミナー参加権、など様々なものがあります。
ベンチャー企業だけに世に出回っていないレアな食品やアイテムを入手できるチャンスもありますし、もしかするとそれ目当てで投資したくなるような株主優待も見つかるかもしれません。
FUNDINNO MARKETで未上場株の売買も可能!
「メリット2」でIPOやM&Aによる大きなリターンの可能性に触れましたが、投資回収までの期間は1年~数年と、どうしても長くなってしまいます。
では未上場株へ投資した場合、資金回収はIPOやM&Aなどの実現を待つ以外ないのかと言うと、FUNDINNOではそれ以外の方法も整備されています。
それがFUNDINNO MARKETです。
FUNDINNO MARKETでは、FUNDINNOで取得した未上場株を売却したり、FUNDINNOで過去に人気だったベンチャー企業の株を買うことができます。
平均売却価格はFUNDINNO募集時の3倍、つまり300%となっており、かなり高価格で取引されるケースもあるようです。
このFUNDINNO MARKETがあるおかげで、FUNDINNOで未上場株を購入した投資家は、IPOやM&Aを待つまでもなく資金回収の機会が生まれています。
ただしFUNDINNO MARKETで未上場株を取引するには「投資家登録」と「株主コミュニティ」への参加が必須となっており、売買が成立した場合は売買代金の5.5%の手数料が別途かかります。
ここで株主コミュニティとは、2015年5月に創設された未上場株式の流通取引・資金調達の制度です。
株主コミュニティは発行者(銘柄)ごとに組成され、参加には組成している事業者の承認を経る必要があります。
なおFUNDINNOではこの株主コミュニティへの参加から、売買注文、取引成立後の手続きまで、全てオンライン上で可能となっています。
そして売買は売主と買主を1対1でマッチングさせる相対取引です。
FUNDINNO MARKETは上場株式のように相場(市場で決まる株の値段)が形成されているわけではなく、流動性が低いケースもありうるかと思いますが、このような早期の資金回収手段が設けられることで、未上場株への投資もやり易くすなるのではないかと思われます。
新株予約権が付与されることも
FUNDINNOの案件の中には、投資した場合に株式ではなく「新株予約権」が付与される場合もあります。
新株予約権とは、発行会社に対して行使することにより当該発行会社の株式の交付を受けることができる権利です。
一般的にはあらかじめ決められた期間(権利行使期間)内にその権利を行使することで、その会社の株式を一定の価額(転換価額)で取得することができます。
ただ新株予約権は株式ではありませんので、株主総会に出席したり、配当を受けたりすることはできない上に、投資してもエンジェル税制は適用されません。
しかし新株予約権の場合、権利行使期間ならいつでも権利行使ができるため、利益が確定している時に権利行使することで損失を抑えた投資をすることができます。
他にも先行投資でリスクを多くとっているため、予約権が株式に転換される際に、取得株数が多くなる可能性もあるようです。
少額からの投資も可能!
FUNDINNOでベンチャー企業に投資する場合、投資金額については案件(プロジェクト)ごとに設定されている「投資コース」の中から希望の金額を選択するようになっています。
投資コースの最低投資金額にもよりますが、案件によっては10万円前後の少額からの投資が可能となっています。
また一年間で同じ企業に投資できる上限額は50万円ですが、この上限額に達するまでは複数の投資コースを選択することが可能です。
なお申し込み後のキャンセルについては、申込日を含めて8日目の23時59分までは可能となっています。
特定投資家制度の導入で1社あたり年間50万円を超える投資も可能!
FUNDINNOでベンチャー企業に投資をする場合、原則として1社あたり年間50万円までという上限が設けられています。
ベンチャー投資がリスクが高いことを考えると、この制限は妥当なものだと思われます。
しかし中には投資に関する知識や経験値が多く、資金力もある投資家の中には、この企業は有望なので100万円投資したいとか、1000万円投資したいという人もいるかもしれません。
そういう投資家の人達に朗報なのが、「特定投資家制度」です。
これは2022年9月にFUNDINNOが導入した制度で、個人や法人の投資家が「特定投資家」に移行することで、1社あたり年間50万円の投資上限がなくなるというものです。
特定投資家について公式サイトより引用します。
特定投資家とはいわゆる「プロの投資家」として、金融商品に対する十分な知識、経験や、財産、リスク管理能力等を有していると考えられることなどから、金融商品取引業者が特定投資家向けに金融商品の開発・勧誘等を行う際には、法に基づく行為規制の一部が適用除外とさせる制度です。
ただし、規制や株式取得比率を鑑み、案件ごとに特定投資家全体での投資上限と特定投資家口座ごとの投資上限が設定されております。
要するに特定投資家とは「プロの投資家」と同等レベルと見做された投資家ということですね。
個人投資家の場合、特定投資家に移行するには、「純資産や有価証券が3億円以上」「年収が1億円以上」「年収が1千万円以上かつ特定の知識を有する方」という条件があります(※審査あり)。
かなりの資産・年収が要件となっていますので、特定投資家への移行は容易ではありませんが、FUNDINNOで本格的にベンチャー投資をやってみたいという人にとっては利用したくなる制度かもしれません。
ALL-or-Nothing方式を採用
FUNDINNOでは募集案件ごとに目標募集額が定められています。
これはプロジェクトが成立するために必要な目標金額で、募集期間中に申し込みが目標募集額に達しない場合や、キャンセル可能期間終了後に目標募集額を割り込んだ場合は、当該プロジェクトは不成立となります。
なおプロジェクトの資金調達額には上限額があり、募集期間中であっても上限額に到達した場合は募集は締め切られます。
デメリットは?
最後にFUNDINNOにおけるベンチャー投資のデメリットについてまとめておきます。
まず第一に投資対象が未上場株のため、換金性が著しく低いです。エグジットに達する前の資金回収手段として上述のFUNDINNO MARKETもありますが、相対取引のため、流動性は低く、すぐに売買できない可能性もあります。
第二に、元本が保証されていません。これは上場株式でもそうですが、既に実績のある上場企業の株式と比べると、そもそも会社が成功するかどうか未知数のベンチャー企業の未上場株式ではさらに元本割れのリスクは高くなります。
第三に、配当金の支払いも約束されていません。新株予約権が付与される場合は勿論、株式の場合でも配当があるとは限りません。株主優待についても同様です。
第四に、投資した企業の経営状況次第で株式価値が失われてしまうこともありえます。ベンチャー企業の場合は倒産してしまうことも少なくなく、FUNDINNOが過去に取り扱った案件の中にも倒産、解散の事例はあります。
まとめ
以上日本初の株式投資クラウドファンディングのサービスであるFUNDINNOについて見てきました。
株式投資型クラウドファンディングはベンチャー事業者にとっても借り入れ以外の資金調達手段として非常に魅力のあるものだと思いますし、これまで見てきた通り、投資家にとってのメリットも多くあります。
特に投資家としてはベンチャー企業を応援しながら節税ができてしまうというのは、他の投資分野にはないメリットではないでしょうか?
その上案件によっては配当、株主優待もありますし、さらにベンチャー投資には大きなリターンの可能性もあります。
確かにベンチャー企業には倒産や解散リスクもあるため、そうした企業へ投資することはハイリスクです。
その上未上場株式では投資資金の回収も短期的には難しいというデメリットもありますので、どなたでも気軽にできる投資とは言えないわけですが、ここまで見てきたことからも十分検討するに値する投資対象と言えるかもしれません。
このFUNDINNOの投資案件ですが、公式サイトによると成約額、成約件数とも毎年右肩上がりです。
それだけFUNDINNOの株式投資型クラウドファンディングサービスが、事業者側、投資家側どちらにとっても魅力あるものということが認知されてきているということだと思います。
ベンチャー企業を応援することで日本経済の発展にも貢献できますし、投資するかどうかは別として、まだ世の中に広まっていない最先端のスタートアップ企業のアイデアや科学技術に触れることができるのもFUNDINNOの案件の面白いところです。
ということで長々と書いてきましたが、FUNDINNOのベンチャー投資に興味があるという方は、まずは公式サイトで過去から現在まで募集している案件にどんなのがあるのか、チェックすることをお勧め致します。
きっと応援したくなる企業が見つかるのではないでしょうか。