今回は発売2ヶ月で10万部以上売れているという『【新NISA完全攻略】月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方』という本を読んでみたので、レビューしたいと思います。
「月5万円から始める「リアルすぎる」1億円の作り方」とありますが、基本的には他の新NISA本同様に、米国株価指数S&P500や世界株式の動きに連動するインデックスファンド(投資信託)への積立投資を推奨する内容で、月5万円からでも十分1億円が作れますよという話がベースになってます。
実際S&P500の過去30年の年次平均リターンは約10%、このリターンだと30歳から月5万円で途中で取り崩さず分配金も複利で投資という条件で積み立てたとすると、59歳で新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を合わせた上限である1800万円が埋まるんですが、何とその翌年の60歳にはもう1億円に到達します。
しかも計算上この上限の1800万円を早い段階で埋めるられるほど1億円を突破できる時期も早くなり、同条件で月10万円積立なら54歳で、年間上限の360万円となる月30万円なら50歳で1億円を突破できる計算となります(「はじめに」より)。
そんなわけで、1800万円の投資上限さえ早期に埋められるなら、計算上は意外と1億円を作り出すのは難しくないのかもしれませんが、実際には毎月積立できる金額は人それぞれですし、平均寿命で亡くなる人もいれば、100歳まで長生きする人もいるので、どういうプランで積み立てていくのがいいのか、積立する人の諸条件や想定する未来によって、様々なケースが考えられます。
この本のまずいい点は、そうした様々なケースを想定した上で、それに対応した豊富な積立シミュレーションのケースを示してくれる点です。
例えば100歳まで積立運用をするケース、60歳まで積み立てた資産を80歳または100歳までのゼロになるまで取り崩していくケース、60歳以降積立で資産を増やしながら定率で資産を取り崩ししていくケース等様々なケースのシミュレーションをグラフ付で提示してくれます。
また具体的にどの商品に投資するのがいいのか、その点に関しても資産形成機の比較的若い段階なら分配金を自動で投資してくれる投資信託のあれ、ある程度資産のある段階での積立なら分配金が多く支払われるETF商品のこれ、という風に金融商品の具体名と特徴をデータを示しながら教えてくれるのも大変参考になります。
しかしこの本で一番参考になったのは、株価が暴落するリスクに触れた上でその対策についてもしっかり言及されている点です。
暴落時に備えて十分な現金を保有しておくという第2章での「現金クッション」の考え方、そして第6章「「インデックスが報われない未来」に備える一つの方法」と第7章「世界一安全な資産」米国債でリスクとリターンを“最適化”」のところは、新NISAを既に始めている人も、これから始めるという人にもお勧めできる内容です。
特に第7章は丸々一章使って米国債券について解説していますが、株価指数に連動する投資信託と組み合わせて運用する場合の米国債券との組み合わせ比率や具体的な投資対象となる米国債券の商品名(ETF)についても触れらており、非常に参考になりました。
ということで、コンパクトですが内容が濃く、データも豊富で、さすがベストセラーと言える内容でした。
新NISAの参考にしたいという人は勿論、他の新NISA本では飽き足らないという人にもお勧めできる本です。